出谷 聖也出谷 聖也

プロジェクト前から関与
7年間メンバーで
駆け抜けた

アンケート調査を
通じて意見を収集

出谷:職員が普段の業務と10項目の行動指針をどう関連付けているかを把握するために、半期に一度「浸透度合調査」というアンケートを実施しました。この調査では、行動指針がどの程度浸透しているかを測定し、推進に向けた次の施策に活かすことを目的としました。
河島さんがプロジェクトメンバーに加わったのはこの頃ですよね。

河島:はい、2021年度からプロジェクトに参加しました。アンケートの集計や分析を担当し、その結果を「アンケート結果掲載号」として通信にまとめました。浸透度が低い項目や部署ごとの特徴が浮き彫りになったと思います。

松島:例えば「ステークホルダーと連携し豊かな学びの場を提供します」という項目は、外部との関わりが少ない部署では自分たちの業務にどう関連しているのか分かりづらいという意見が多く寄せられました。「豊かな学びの場を提供」も含めて、抽象的だという意見もありました。

出谷:いろいろな意見が出てきて、気付きがありました。学生と直接やりとりをしない部署からは「行動指針の言葉はよいけど、自分の仕事はどこにどう結びつくかイメージがわかない」という声が多かったです。

松島こうした現場の意見を受けて、アンケートでは、行動指針が浸透しているかという俯瞰的な質問ではなく、自分自身が実践できているかを問う方針にし浸透度から実践度に訊き方を変更しました。

浸透度の
評価ゴールは何?

出谷:月に一度開催されるプロジェクトミーティングが有意義な内容になるよう、松島さんや河島さんと共に事前準備をしっかり行いましたね。

河島:はい、私がプロジェクトに参加したばかりだったので、積極的に役割を作ろうと心がけていました。具体的には、進行表の作成や事前打ち合わせの議事録の作成などを行い、ミーティングに備えました。プロジェクトミーティングは、メンバー全員がざっくばらんに意見を出し合い、それぞれの立場から見解を述べていきました。「なぜそれをやる必要があるのか」と根拠を共有し合いながら、建設的な議論が進められたと思います。浸透させるために「他にできることはないか」と常にアイデアを募っていました。

松島:そうですね。ミーティングで意見が激しく衝突することはありませんでしたが、アンケート調査に関して、「どの時点で行動指針が浸透したと言えるのか」という議論が尽くされました。アンケートは7段階評価で実施しており、7に近いほど浸透していると判断できますが「6ではどうか」「過去と比べてどのくらい改善されたのか」といった具体的な評価基準についても深く話し合いました。

出谷:確かに、浸透度を高めるためにさまざまな工夫を凝らしましたが、ある程度の段階で頭打ち感が生まれました。

河島:そのような状況を打破するために、プラスアルファでいろいろな質問を職員に投げかけて、意見をすくい上げる方法を模索しましたよね。ミーティングでは毎回、「次はどのような質問を追加すべきか」を議論しました。行動指針を推進する取り組みの中で、平均値としては順調に浸透度や実践度が上昇していましたが、一部の項目はこれ以上伸びないだろうと限界が見えてきたため、数回に分けて意見収集を進めました。

プロジェクトと
学園の動き
両輪が変革をおこす

丸山 治丸山 治

2020年iUが開学
プロジェクトの転換期

丸山:「行動指針推進プロジェクト」とは別の動きとして、2020年にiUが開学したことが影響を与えたかもしれません。iUの教員には独自の行動指針が存在しなかったため、「電子学園全体で一つの統一された行動指針が必要なのではないか」という意見が挙がり始めました。この意識が現場から役員へと伝えられるようになったのです。

出谷:そのようなタイミングだったのですね。プロジェクトとしては、アンケート結果から、取り組みの成果は感じていましたが、教員と職員の行動指針が異なっていたり、経営理念や経営ビジョン、行動規範といった上位概念との関連性が分かりにくいという声がプロジェクト内で聞かれるようになりました。2022年頃からです。

松島:2022年は、行動指針に関する議論の転換期だったと言えるかもしれません。これまでのように、アンケート調査を形式的に実施するのではなく、「具体的な目的を持って実施する必要がある」という課題意識が生まれました。

河島:私は2021年からプロジェクトに参加していましたが、各部署で行動指針がどの業務に関連するのかを明確にし、職員に周知する取り組みを進めていました。
その中で相関分析を行った結果、個人の実践度が高まっても、所属する部署全体の実践度には結びつかないという結果が見られることがありました。本来であれば、個人の実践度が高まれば部署全体の実践度も上がるはずなのですが、この結果を受け、何か改善が必要だと感じました。

松島:確かに、プロジェクトミーティングでは試行錯誤を重ね、最も大変だった時期かもしれません。半期に一度行うアンケート調査の内容を詰めていく中で、そもそも「現在の行動指針が今の10項目で本当に良いのか」という議論を行いました。
アンケート結果には、「項目が多すぎる」「部署によって実践しづらい」「覚えにくい項目がある」といった意見が含まれていました。これまで見えてこなかった、現場の声が明らかになった瞬間でした。

出谷:それをきっかけに、「今の行動指針そのものを見直すべきではないか」という議論に舵をきりました。行動指針の浸透や実践ではなく行動指針そのものの内容を再考するフェーズに移行しました。

項目が多く
実践しづらい現場の声をあげる

松島:職員へのインタビューを進める中で、「行動指針の項目が多すぎて中々頭に入らない」という声が頻繁に聞かれるようになりました。また、実践の際に感じる「行動指針のレイヤーの違い」についても議論する必要性が高まっていました。

河島:そのような状況の中で、アンケート調査では、「どのような項目があれば良いのか」という視点からも質問を設けました。
そして、「これは残してほしい」「こういう項目を追加してほしい」という意見を集めながら議論を進めました。「これまでの議論をまとめて欲しい」という話があり、プロジェクトのレポートを作成し、丸山さんを通じて役員に提出しました。

出谷:丸山さんがレポートを役員会に提出してくれたことで、アンケート調査結果や出された意見が反映され、役員による検討とも合わさって、行動指針が新しく見直される方向に進みました。

松島:2024年度に入ってから、大きな動きが見られましたね。

丸山:役員から推進プロジェクトに対して「全員の意見を聞いてほしい」という要望があり、現行の行動指針の評価や、もし新しくするならどのようにすべきかを一人ひとり確認し、それらをまとめたうえで役員会が進める「人材プロジェクト」に提出。
推進プロジェクトとしては、これらを基に新たな行動指針を検討していただきたいという意味が込められていたと思います。