INTERVIEW
スペシャリストも
イノベーターも育成
多既存の大学ではできないことに取り組む専門職大学として、中村さんの発想と我々のビジョンとをリンクさせながら、iUの設置構想を作ってきましたね。
中村デジタル社会はムーアの法則によって急速な進展が予測されてきましたが、これからは速さではなく賢さの時代になります。法則による予見不可能な、変化し続ける時代。今、我々はコロナ禍において地球上で誰も予想していなかったことが起こりうるという変化を目の当たりにし、おそらくコロナが去っても、次々と変化が起こるということを認識している瞬間だと思います。だとすると、これから生き残っていけるのは「変化を楽しむ人」。もう一つ、これまで学んできたことが全く役に⽴たなくなった時、⽣き残れるのは「学び続ける⼈」だと思います。iUは「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造する。」という理念を掲げていますが、コロナの時代において、ますますその意味が重要になってくるでしょう。世界が大きく変わることをピンチではなくチャンスと捉える人、そういう覚悟を持てる場所を作っていくことが我々のミッションだと思います。

船山JECはiUとともに職業教育の複線化を具現化するにあたって、教育の質の保証に積極的に挑戦しています。専門学校では義務化されていない「第三者評価」を2007年に他校に先がけて受審して以来、3回連続で全基準を満たし、文部科学大臣による職業実践専門課程制度にもいち早く対応するなど、教育の質の高さを内外に示しながら、将来スペシャリストとして産業界で活躍したいという学生・保護者のニーズにこたえ続けていきます。
多70年続いてきたJECは、エンジニアやクリエイターなど現場を牽引するスペシャリストを育成する専門学校として、今後も先導的役割を担っていくと思います。一方で、技術革新やグローバル化が進み、国際競争が激化の一途を辿る中、ICTを手段として活用し、ビジネスにイノベーションを起こす人材を育成するiUが開学しました。今後の産業界の発展を考える時、スペシャリストとイノベーターがそれぞれの役割を果たしながら有機的に連携することが必要不可欠です。「電子技術を核とした創造性豊かな技術者の育成を通して世界に貢献する」という本学園の建学の精神を源とし、JECが育成するスペシャリスト、iUが育てるイノベーターが共に活躍することで、日本の産業界の、ひいては国際社会の発展に寄与していきます。

社会への問いと
自身への解を持ち続けて
中村iUは専任教員の約8割が産業界出身、連携企業200社、客員教員300人以上という中で「全員起業、就職率ゼロ」を目標に掲げています。おそらく世界に例を見ないモデルですが、今後、この価値をもっと高めていきたいと思っています。実際、こうしたメッセージに応えてくれる学生が思ったより多く、1年生から起業した学生もいます。4分の3は親に反対されても説得して入学してきたという逞しい学生たちで、ほとんどが「コロナの時期はチャンス」と答えます。そういう心持ちの世代が新しい学びの場、そして次の時代を作ってくれるのではないかと期待しています。
多時々刻々と変化する世界の中で、学生・卒業生の皆さんに持ち続けてほしいのは「社会への問い」と「自身の解」です。自身の能動性によってキャリアをデザインしていく時代において、過去の慣例を踏襲していては激しい変化に飲み込まれてしまいます。既成概念にとらわれることなく「なぜ?」という「問い」を持ち続けること。そして、それに対する答えは、必ずしも一つではなかったり、答えがないこともあります。そうした多様化・複雑化する社会において、「自分自身が正しいと思う解」を頭の中でしっかりと想像し、社会のために実装するよう創造していくことが非常に大切だと思います。本学園の卒業生約11万人には11万通りの色があります。色彩豊かな問いや答えに満ち溢れ、広く社会で活躍してくれることに大いなる期待を持っています。
職業教育体系の確立をめざして
こたえ続ける
船山JECは、産業界で必要とされる新しい技術をキャッチアップし、新しい学科を設置することでそのニーズにこたえ続けてきました。今後時代が移り変わって技術がより高度化しても、それをいち早く教育に反映させ有為な人材を輩出し続けるということに変わりはありません。このDNAと言ってもいい取り組みを継承し、愚直に継続していくことで、その先の未来が拓けると確信しています。

多本学園では2016年から10年間の長期ビジョン「学校法人電子学園NEXT10」を進める中で、JECとiUを共に有する職業教育の複線化を実現しました。次なる目標は、複線化された面の前後を線でつなぐ「職業教育体系の確立」です。両校が高等学校との積極的な職業教育連携をめざす一方で、本学園の中でも職業教育の理想の形を追求すべく、高等学校や大学院等の設置の可能性についても検討をスタートしたいと考えています。こうした新たなる挑戦は、決して平易ではありません。しかし、本学園の創設者は終戦後わずか6年で新宿の地に日本ラジオ技術学校を設立し、その後長きにわたってJECを運営してきました。それから70年余り、私たちは準学校法人から1回の申請で認可された最初の専門職大学iUを開学することができました。道は険しくとも、信念を持って臨めば必ず拓けると信じています。本学園の教職員をはじめステークホルダーの皆様にご理解とご協力をいただき、「感謝」と「挑戦」を本学園における「栄えある未来へのテーマ」として励行しながら、奮励努力を重ねていきたいと考えています。








