SPECIAL INTERVIEWINTERVIEW

Change the World with New Challenges. 新たな挑戦で“栄えある未来”を拓く。Change the World with New Challenges. 新たな挑戦で“栄えある未来”を拓く。
  • iU 情報経営イノベーション 専門職大学 学長 中村 伊知哉 Ichiya NakamuraiU 情報経営イノベーション 専門職大学 学長 中村 伊知哉 Ichiya Nakamura
    iU 情報経営イノベーション
    専門職大学 学長
    中村 伊知哉 Ichiya Nakamura
  • 学校法人電子学園 理事長 多 忠貴 Tadataka Ohno学校法人電子学園 理事長 多 忠貴 Tadataka Ohno
    学校法人電子学園 
    理事長
    多 忠貴 Tadataka Ohno
  • 日本電子専門学校 校長 船山 世界 Sekai Funayama日本電子専門学校 校長 船山 世界 Sekai Funayama
    日本電子専門学校 
    校長
    船山 世界 Sekai Funayama

学校法人電子学園
70周年の歴史を振り返って

本学園創設の起因は第二次世界大戦下に遡ります。創設者の一人である⼤嶋⼗三雄は、海軍の電気技術者として米軍の通信機やレーダーなどの高性能さを目の当たりにし、日本における電波知識の普及と促進に強い信念を抱きました。これに基づき、1948年に研究機関として社団法人ラジオ技術協会を設立した後、ラジオやテレビの製作・修理に携わる人材の育成を社会的使命と捉え、1951年には日本ラジオ技術学校を設立しました。これが本学園のルーツです。その後、高度経済成長期に伴い1961年に校名を日本電子専門学校(以下JEC)に改称。以来、「電子技術を核とした創造性豊かな技術者の育成を通して世界に貢献する」という建学の精神のもとで一貫して先進的な職業教育を行ってまいりました。一方で近年、技術革新による産業構造の変化、国際競争の激化、就業構造の変化、生産年齢人口の減少など、私たちを取り巻く社会環境は大きな変革期を迎えています。このような中で、我が国が成長・発展を続けていくためには、当該職種の専門技術等を有しつつ、新たな価値を創造することができる専門職業人材の養成が不可欠であるとの認識から、「理論に裏付けられた高度な実践力」と「豊かな創造力」を身に付けることを目的とし、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として専門職大学・専門職短期大学が制度化されました。こうした時代背景から、本学園では、ICTを活用してグローバル社会でビジネスに変革を起こす人材を育成すべく、2020年4月に情報経営イノベーション専門職大学(以下iU)を開学。これにより、専門学校と専門職大学を共に有し、職業教育の複線化を実現することができたのです。そして2021年、本学園は創立70周年を迎えることができました。これまで本学園の発展にご尽力いただいた皆様のたゆまぬ努力があったからこそであり、感謝の気持ちを忘れてはならないと心に誓っています。

船山JECはラジオ、テレビ技術者の育成に始まり、電気・電子・コンピュータ分野のエンジニア教育、そして現在ではCGや映像、ゲーム、アニメなどのクリエイターの育成にも取り組んでいます。これらの軌跡は科学技術の発展と軌を一にしており、日本の産業の発展とともに成長してきました。私が入職した1987年当時は第二次人工知能ブームで、人工知能科を新設した年でした。翌1988年にはマサチューセッツ工科大学(以下MIT)のマーヴィン・ミンスキー教授が来校され、人工知能の講演をされたのを今でも鮮明に覚えています。現在は昼夜合わせて25学科を設置していますが、1976年に専修学校制度が発足した後だけでも146の学科を設置してきました。裏を返せば121の学科が時代の流れとともにその役割を終えたとも言えます。まさにスクラップアンドビルドを繰り返しながら、新しい技術には新しい学科を設置することで脈々とこたえ続けてきた、ある意味で凄まじい歴史でした。

質実剛健の歩みを愚直に継続していくその先に未来が拓けると思います。

中村学校法人電子学園が始まった70年前は、まさに情報社会の入口でした。そこに必要な学校ができ、今度は情報社会の次の、これまで人類が経験したことがない新しい文明に差し掛かる時代です。すなわちSociety5.0といわれる、人工知能やロボットによりモノとモノがコミュニケーションし、人よりもモノが賢くなっていく時代。ここでまたiUという新しい学校ができました。私はMITでマーヴィン・ミンスキー氏と一緒に仕事をした後、各大学で研究・教育を続けながら、将来の日本で必要な学校像を思い描いていたのですが、その設計図とiUの構想がぴったり一致したので、学長をお引き受けしたのです。

質実剛健の歩みを愚直に継続していくその先に未来が拓けると思います。

スペシャリストもイノベーターも育成

既存の大学ではできないことに取り組む専門職大学として、中村さんの発想と我々のビジョンとをリンクさせながら、iUの設置構想を作ってきましたね。

中村デジタル社会はムーアの法則によって急速な進展が予測されてきましたが、これからは速さではなく賢さの時代になります。法則による予見不可能な、変化し続ける時代。今、我々はコロナ禍において地球上で誰も予想していなかったことが起こりうるという変化を目の当たりにし、おそらくコロナが去っても、次々と変化が起こるということを認識している瞬間だと思います。だとすると、これから生き残っていけるのは「変化を楽しむ人」。もう一つ、これまで学んできたことが全く役に⽴たなくなった時、⽣き残れるのは「学び続ける⼈」だと思います。iUは「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造する。」という理念を掲げていますが、コロナの時代において、ますますその意味が重要になってくるでしょう。世界が大きく変わることをピンチではなくチャンスと捉える人、そういう覚悟を持てる場所を作っていくことが我々のミッションだと思います。

船山JECはiUとともに職業教育の複線化を具現化するにあたって、教育の質の保証に積極的に挑戦しています。専門学校では義務化されていない「第三者評価」を2007年に他校に先がけて受審して以来、3回連続で全基準を満たし、文部科学大臣による職業実践専門課程制度にもいち早く対応するなど、教育の質の高さを内外に示しながら、将来スペシャリストとして産業界で活躍したいという学生・保護者のニーズにこたえ続けていきます。

コロナ時代を生き残っていけるのは「変化を楽しむ人」。

70年続いてきたJECは、エンジニアやクリエイターなど現場を牽引するスペシャリストを育成する専門学校として、今後も先導的役割を担っていくと思います。一方で、技術革新やグローバル化が進み、国際競争が激化の一途を辿る中、ICTを手段として活用し、ビジネスにイノベーションを起こす人材を育成するiUが開学しました。今後の産業界の発展を考える時、スペシャリストとイノベーターがそれぞれの役割を果たしながら有機的に連携することが必要不可欠です。「電子技術を核とした創造性豊かな技術者の育成を通して世界に貢献する」という本学園の建学の精神を源とし、JECが育成するスペシャリスト、iUが育てるイノベーターが共に活躍することで、日本の産業界の、ひいては国際社会の発展に寄与していきます。

社会への問いと
自身への解を持ち続けて

中村iUは専任教員の約8割が産業界出身、連携企業200社、客員教員300人以上という中で「全員起業、就職率ゼロ」を目標に掲げています。おそらく世界に例を見ないモデルですが、今後、この価値をもっと高めていきたいと思っています。実際、こうしたメッセージに応えてくれる学生が思ったより多く、1年生から起業した学生もいます。4分の3は親に反対されても説得して入学してきたという逞しい学生たちで、ほとんどが「コロナの時期はチャンス」と答えます。そういう心持ちの世代が新しい学びの場、そして次の時代を作ってくれるのではないかと期待しています。

時々刻々と変化する世界の中で、学生・卒業生の皆さんに持ち続けてほしいのは「社会への問い」と「自身の解」です。自身の能動性によってキャリアをデザインしていく時代において、過去の慣例を踏襲していては激しい変化に飲み込まれてしまいます。既成概念にとらわれることなく「なぜ?」という「問い」を持ち続けること。そして、それに対する答えは、必ずしも一つではなかったり、答えがないこともあります。そうした多様化・複雑化する社会において、「自分自身が正しいと思う解」を頭の中でしっかりと想像し、社会のために実装するよう創造していくことが非常に大切だと思います。本学園の卒業生約11万人には11万通りの色があります。色彩豊かな問いや答えに満ち溢れ、広く社会で活躍してくれることに大いなる期待を持っています。

職業教育体系の確立をめざしてこたえ続ける

船山JECは、産業界で必要とされる新しい技術をキャッチアップし、新しい学科を設置することでそのニーズにこたえ続けてきました。今後時代が移り変わって技術がより高度化しても、それをいち早く教育に反映させ有為な人材を輩出し続けるということに変わりはありません。このDNAと言ってもいい取り組みを継承し、愚直に継続していくことで、その先の未来が拓けると確信しています。

本学園では2016年から10年間の長期ビジョン「学校法人電子学園NEXT10」を進める中で、JECとiUを共に有する職業教育の複線化を実現しました。次なる目標は、複線化された面の前後を線でつなぐ「職業教育体系の確立」です。両校が高等学校との積極的な職業教育連携をめざす一方で、本学園の中でも職業教育の理想の形を追求すべく、高等学校や大学院等の設置の可能性についても検討をスタートしたいと考えています。こうした新たなる挑戦は、決して平易ではありません。しかし、本学園の創設者は終戦後わずか6年で新宿の地に日本ラジオ技術学校を設立し、その後長きにわたってJECを運営してきました。それから70年余り、私たちは準学校法人から1回の申請で認可された最初の専門職大学iUを開学することができました。道は険しくとも、信念を持って臨めば必ず拓けると信じています。本学園の教職員をはじめステークホルダーの皆様にご理解とご協力をいただき、「感謝」と「挑戦」を本学園における「栄えある未来へのテーマ」として励行しながら、奮励努力を重ねていきたいと考えています。

質実剛健の歩みを愚直に継続していくその先に未来が拓けると思います。