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01 学校法人 電子学園 総務部 心理相談室 河島 綾 Aya Kawashima01 学校法人 電子学園 総務部 心理相談室 河島 綾 Aya Kawashima

学生の成長を一番の喜びと考え、
愛情と熱意を持って学生を導きます。

Q:最初は非常勤勤務として、心理相談室をご担当いただいていたのですね。

そうです。15年間以上、岡村先生と私で日本電子専門学校の心理相談室を担当しています。私は、日本電子と小・中学校のスクールカウンセラーを二足の草鞋でずっとやっていました。iUの開学と共に正職員になりましたので、正社員としては新人ですね(笑)現在、月・火・金は日本電子へ、水・木はiUでカウンセリングを行っています。正職員になった今、ストレスチェック実施担当にもなりましたので、教職員の方とも積極的に関わっていきたいです。

Q:心理カウンセリングとは簡単に言うとどのようなものですか。

大雑把に分けて2つのアプローチモデルがあり、医師が診断やお薬等を使って手当てをするような問題や症状の消失を目標とする型は治療モデルといいます。それに対して、成長モデルと呼ばれる人格の成長促進や自己実現の支援をする型があり、教育分野ではこちらをベースとします。その人が今まで出来なかったことを出来るように手助けしたり、その獲得が難しいようであれば、代替手段となる別の方法を共に考えたり、得意な部分を伸ばすことで補う等、たとえ学校の成績では評価されない部分であっても、本人的に意味のある成長や工夫ができるように心理的サポートを行います。

Q:学生相談はどのような形で繋がることが多いですか。

自主来室と先生からの紹介で来るケースがあり、割合は半々くらいです。紹介で来た学生は基本、既に深刻な状態で本人が退学・休学を考えられていることが多いです。その場合、即退学ではなく、休学を挟むことを選択肢として提示する場合が割りとあります。気持ちが不安定な時に焦って退学を決めてしまうと取り返しがつかないので、冷静に判断ができる状態で自分と向き合って決める事が大事だからです。本当に学生の立場に立って対応すれば、最終的に退学という結果になっても、貴重な人生の時間を日本電子で過ごしてよかったと思ってもらえると思います。

Q:相談ではどういったケースが多いですか。

・不登校・発達障害・自己性格・家族関係・対人関係・進路、学業関係・心身の健康という項目で分類しています。数としては不登校が一番多いです。主訴として不登校・出席不良で繋がる事が多いからです。その原因は、学業とか人間関係とか人によって様々です。最近の主訴の傾向では、対人関係と家族関係というのが同等数くらい多いかと思います。単に家族関係が不良であるという事ではなく、年齢的にも自立前の時期的にも自分を振り返る事や自分と向き合う事は家族との関わりが気になるものです。また、発達障害をご自身で理解した上で来られる学生も増えています。家族背景要因や発達障害を持っている学生は、自分に自信が無いことが多く、そうすると自己性格で悩んでいるということにもなるので、分類では、対人関係、家族関係、自己性格の3項目が同等数であるというのが現状です。

Q:相談の対応をする上で気を付けていることは何ですか。

私がカウンセリング時に気を付けていることは、以下の三点です。○相手を尊重し、認めてあげること。○聞くべき質問はきちんと聞くこと。○目の前の学生にとって何がベストかを一緒に考えてあげること。こういった部分は、行動指針の「学生の成長を一番の喜びと考え、愛情と熱意を持って学生を導きます。」に通じるところだと思います。例えば、学生からの進路変更の相談時、教職員としての立場からの考えが混ざってしまうと、学生は敏感に感じ取ってしまうものです。例えばなるべく退学をさせたくないというのはこちらの事情であり、その学生にとって退学することがベストな選択かもしれないのです。その学生にとってのベストにたどり着けるよう親身に対応し、結果として退学にならなかった、というのが本筋です。
もう一点大事なことは、「共感」と「同情」は違うと常にラインを引いておくことです。特に深刻な学生の悩みに触れたときは、苦しみを共有してしまいそうになりますが、その辛さは自分の辛さではなく、その子の辛さであるということを忘れないようにしています。それよりも、自分が“どう支援するか”、“何ができるか”に意識を強く持って行って、共有する辛さに飲まれないように心がけます。

Q:たとえばどのような相談がありますか。

はじめは「アニメが好きだから」、「パソコンが好きだから」という理由で入学した学生が、実は仕事にするのは違うかもとか、在学中に新しく興味の持つものに出会ってしまって進路を変更することってあると思うんです。ある学生は、学校を休みがちになり、ご家族の方から学校の対応に関するクレームが入りました。色んな人が一生懸命その学生が学校で勉強できるよう、配慮をしたけれども、うまくいかなかった。そんな状況の中で私が間に入ることになりました。カウンセリングを通して、本人が言えなかった進路について、保護者の目の前で言いやすいよう雰囲気の下地を作りました。結論を言えば、この学生は退学してしまったのですが、最後には、「この学校に入学する事ができて良かった」と言って、皆さんで新しい道を進んで行かれました。
学生は、自ら選んで入学し、たくさんお金もかけてもらったのに、進路を変更したくなったことに、自己責任を感じていたのですね。でも、素直に言えなくて学校が悪いという理由に変換してしまいました。保護者は保護者で子どもが何に苦しんでいるのかが分からず、学校もできる限り対応しても何故か改善せず、どうすればいいか分からない…と、皆が苦しい状態になってしまったのです。カウンセリングでは、そういう苦しい状況に風穴を開けるお手伝いもさせてもらいます。

Q:学校全体で学生を支えるには何が大切であると考えますか。

職場には、様々な立場があると思いますが、『学生ファースト』という考えは、連携の大きな要になると思います。「今、目の前の学生の為にできること」を最優先に考えることによって、同じ目標、同じ方向性で協働できて、結果的にいい連携が生まれます。私の経験上、これができている職場は、何か起きたとしても、素早くがっちりと学生を守って行動できていました。電子学園は、『学生ファースト』の姿勢が明確で、良い学校だと感じています。

Q:今後の目標を教えてください。

コロナ禍以降の新しい手段として、対面に加え、オンラインカウンセリングを運用しています。何にでも当てはまりますが、新しいことを始めると想定外のことが起こりますので、色々な学校の事例等を見て、慎重に事を進めています。また、私のカウンセラー史上、高校だけはまだ経験できていません。そんな心残りを抱えている中、2021年1月に配信された多理事長のご挨拶でいずれは高等学校もつくるとのお話がありました。自分の中で小学校入学~大学卒業までの人の成長に関われるということで、今からとても楽しみにしています。

「5年後の私へ」

これまでと変わらずに学生ファーストであり、学生センターである心理的支援を、「学生の成長を一番の喜びと考え、愛情と熱意を持って学生を導きます。」の本学園職員行動指針と併せて、"学生の成長"により働きかける形で行い続けていられていますように。
また、学生だけでなく、己れ自身も緩やかであっても成長し続けていくように仕事と向き合い続けていられますように。5年後の自分はこれ等の今の自分の想いを確かなものとしているでしょう。