

学校法人電子学園 理事長 多 忠貴
1984年(昭59)日本電子専門学校芸術学部卒。同年放送技術社入社。87年NHKテクニカルサービス(現NHKテクノロジーズ)入社。06年電子学園入職。16年より電子学園理事長。
「変化」する時代を
新たな価値創造への機会と
捉えて「進化」へ
日本の高等教育機関は、現在、かつてない構造転換の只中にあります。
少子化による18歳人口の減少は、多くの高等教育機関に経営上の重大な課題を突き付けており、これまで是としてきた従来の取り組みだけでは、持続的な発展は望めない局面に入っています。
一方で、社会全体に目を転じれば、生成AIやDX等による急速な技術革新や産業構造の変化、これらに伴う雇用形態の変容により、リスキリングやリカレント教育など、社会人の学び直しに対する需要が高まっています。
また、政府が2033年までに外国人留学生の受け入れ数を40万人にする目標を掲げたことに対し、2025年の時点でそれを上回る勢いで急増していることから、生産年齢人口が減少の一途を辿る日本において、優秀な留学生が国力の一翼を担うことに期待が寄せられています。
こうしたことから、今後の高等教育機関は「学位授与や資格取得の場」に留まることなく、「あらゆる世代・多様な人々の学びを支える社会インフラ」として、産業界や地域社会と協同しながら、実社会で活躍できる人材を継続的に育成する拠点となることが求められます。そのためには、社会との接続を念頭に置いた、より実践的な教育内容へと再設計するとともに、課題解決力、創造力、多文化共生力といった汎用的能力の育成にも力を傾注していく必要があります。
また、教育対象を若年層に限定せず、社会人の学び直しを受け入れる体制の整備が不可欠です。マイクロクレデンシャルやモジュール型学習の導入、オンラインを活用した教育の本格展開により、時間的・地理的制約を超えた学習機会を提供し、生涯学習拠点としての機能を強化していかねばなりません。
さらに、教育機関としてのDX推進も肝要です。学習履歴データを有効的に活用した個別最適化教育の実現、ハイフレックス型授業の定着、教職員における労働生産性の向上等に対する投資を計画的に進めることで、教育の質の高度化と経営の効率化の両立を図る必要があります。
このような認識のもと、日本の高等教育機関においては、「社会と協同した実践的教育の推進」「生涯学習を支援する機能の強化」「教育現場におけるDXの実装」を中核的な戦略として位置づけ、高等教育機関としての社会的使命の遂行と持続的発展をめざすべきであると考えます。

学校法人電子学園では、こうした高等教育を取り巻く「変化」を新たな価値創造への機会と捉えて「進化」へと導くべく、5ヶ年の中期経営計画「DENSHI VISION 2030」を策定し、2026年4月からスタートすることといたしました。そのコンセプトは「未来をつくる。期待にこたえる。」先々を見通すことが困難な未来において、高度な実践力と豊かな創造力を兼ね備えて強かに生き抜く人材を育てる。そして、この不変的な営みによって、本学園を支えてくださるステークホルダーの期待にこたえ続けていくことが私達の果たすべき役割と位置付けたものです。
その上で、これを具現化していくために、4つの方針として「学校法人電子学園の新たな挑戦」「iUの更なる伸張」「日本電子専門学校の確かな歩みと新たな未来」「経営資源の盤石化」を掲げ、これらに紐づく具体的な施策を教職協働のもとで講じていきます。
この「DENSHI VISION 2030」を終える2030年度末、本学園は創立80周年を迎えます。終戦から僅か6年後の1951年に日本ラジオ技術学校として産声を上げて以来、「電子技術を核とした創造性豊かな技術者の育成を通して世界に貢献する」という建学の精神のもと、先人の弛まぬ尽力によって、常に職業教育機関のフラッグシップとして歩み続けてきた軌跡が未来永劫色褪せることのないよう、本計画を着実に進めてまいります。
本学園の教職員の皆さんはもとより、支えてくださるステークホルダーの皆さまからご理解とお力添えをいただきますよう、切にお願いいたします。